相談者
コロナの影響で勤務先が休業し、実質仕事がなくなりました。2年前に購入したばかりの自宅のローンが払えません。このまま自宅まで手放すことになるのでしょうか?(東京都 30代)
回答者
こんにちは。安心R住宅推進協議会の三津川 真紀です。
「緊急事態宣言」の発令以来、飲食店など接客業の方を中心に、勤務時間の大幅な削減や休業、あるいは解雇に伴う収入減により、同様のご相談が殺到しています。ここでは、ご相談の内容について、新型コロナウイルス(以下、コロナ)による影響で住宅ローンが払えなくなった場合の対応策についてお伝えしたいと思います。
まず最も重要なことは、住宅ローンの滞納に陥る前に、借入先である金融機関に相談することです。住宅ローンの支払いが滞ると、まもなく金融機関から督促が来ます。この督促をそのままにしていると、金融機関は保証会社に保証債務の履行を請求し、その結果、保証会社から住宅ローンの債務者に対して一括返済が請求されることになります。月々の返済が滞る状況なのですから、通常は一括返済などできず、そのまま競売にかけられ強制的に自宅を手放すことにもなりかねません。各金融機関には住宅ローンの返済に関する相談窓口が設置されています。特にコロナの影響により住宅ローンの返済が厳しくなってしまった方に対しては、金融庁や全国銀行協会においても支援・対応策が用意されています。フラット35を利用されている方であれば、住宅金融支援機構にご相談下さい。最長15年の返済期間の延長や最長3年の元金据置期間の設定など、条件やご事情に応じた返済方法の変更メニューが揃っています。
あわせて、給付金や貸付金などによる生活支援策(個人向け)も最大限に活用したいところです。収入が減ってしまい家賃や住宅ローンが払えない場合に受けられる「住宅確保給付金」や、失業し生活が困難となった場合に受けられる「総合支援資金」(いずれも厚生労働省)、休業などによる収入減で生活が困難となった場合に受けられる「緊急小口資金」(都道府県社会福祉協議会)など、コロナに伴う複数の支援策が政府や自治体から出ています。また、失業や再就職が関連しているのであれば、「失業保険」や「再就職手当」「就業促進定着手当」などの支給条件に当てはまる場合もあるでしょう。
いずれにしても、“滞納する前に”“できるだけ早く”、金融機関などで返済条件の変更をご相談下さい。滞納してしまうとその記録が個人信用情報機関に登録され、今後の融資や借り換えが受けられなくなる可能性があります。また、優遇金利が適用されている住宅ローンを利用している場合は、適用を取り消されてしまうこともあります。くれぐれも注意して下さい。
最後に、返済条件を変更できたとしても、それは返済の一時的な猶予であって、債務を免除されたわけでも住宅ローンが減るわけでもありません。逆に返済を繰り延べたことで金利の負担が増え、総返済額が増えてしまうこともあります。返済条件の変更などが解決策にならない場合は、最終手段として、自宅を残したまま「民事再生による債務整理」をする方法や、自宅を売却する「任意売却」という方法があります。最近では、売却した自宅に賃貸で住む「リースバック」という方法を利用する方もいます。それぞれに相談先もメリット・デメリットも異なりますので、一人で悩まず、まずはご相談下さい。