あんしんを、あたらしく。~一般社団法人安心R住宅協議会~

2020.05.12

【コラム】新型コロナ影響下における住宅関連の救済措置<まとめ>

新型コロナ影響下における住宅関連の救済措置

こんにちは。安心R住宅推進協議会の三津川 真紀です。

新型コロナウイルス(以下、「コロナ」)は終息に向かう兆しがないまま、一層の拡大が懸念されています。5月20日、国土交通省は「不動産業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を業界団体向けに通達しました。政府が緊急事態宣言を発令し、私たち生活者もさまざまな影響を受けています。そこで今回は、コロナの影響により、特に住居を失うおそれが生じている方に対する住宅関連の救済措置について整理したいと思います。

 

要件緩和や期限延長されている、「住宅」を対象とした支援制度

2019年10月1日に消費税率が10%に引き上げられたことに伴って、国は、マイホームの需要減対策として、消費税増税後の住宅取得を支援するため、4つの施策を実施しました。それぞれの制度を併用することも可能なため、マイホームの取得に伴う負担を大幅に軽減できるようになったのですが、各制度の適用期限が2020年3月末日や12月末日に設定されているものが多く、今回のコロナの影響をもろに受ける形となってしまいました。今月の相談事例でもご紹介させていただきましたが、コロナの影響で住宅設備の納品が遅延したり、建築やリフォームの工期が延長してしまい、各制度の要件や期限を満たせなくなった方も少なくないのです。そこで、新たな救済措置が設けられました。

 

1.住宅ローン減税

住宅ローンを利用して、自ら居住する住宅を建築・購入、または補修した場合で、2016年以降2021年12月末日までに引渡され入居が完了した方を対象に、毎年末の住宅ローン残高の1%が10年間あるいは13年間、所得税(一部、翌年の住民税)から控除されます。コロナの影響により入居が遅れたことを証明できる場合(一定の期日までに契約が完了している等)は、控除期間が13年間のままとなる特例措置が受けられるようになりました。確定申告時に、契約の時期を確認する書類として請負契約書の写しや売買契約書の写しなどを、入居が遅れたことを証する書類として「入居時期に関する申告書兼証明書」を、それぞれ所轄の税務署へ提出することで適用されます。

 

2.すまい給付金

消費税率が8%または10%の適用を受けている期間に、自ら居住する住宅を購入した方を対象に、収入額に応じて最大50万円の現金が給付されます。但し、検査により住宅の品質が確認されるなどの諸条件を満たし、かつ2021年12月末日までに引渡され入居が完了した場合に限られます。

 

3.次世代住宅ポイント制度

一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を満たす住宅や家事負担の軽減に資する住宅を新築またはリフォームした方を対象に、さまざまな商品と交換できるポイントが発行されます。コロナの影響により事業者からやむを得ず受注や契約を断られるなど、2020年3月末日までに契約ができなかった方については、2020年4月7日から8月末日までに契約を行なった場合にポイントの申請が可能になりました。
本制度終了後は、「グリーン住宅ポイント制度」に引き継がれます。グリーン住宅ポイントは、高い省エネ性能を有する住宅を建築・購入、またはリフォームした場合で、2020年12月15日から2021年10月末日までに契約を締結した方を対象に、グリーン社会の実現や地域における民需主導の好循環の実現等に資する住宅に投資したとして、1戸あたり最大100万ポイント(1ポイント=1円相当)が発行されます。発行されたポイントで、さまざまな商品や追加工事と交換ができます。コロナの影響により新設される制度です。

 

4.住宅取得等のための資金に係る贈与税非課税措置

消費税率が10%の適用を受けている期間に、父母や祖父母等の直系尊属から、住宅取得等のための資金の贈与を受けて、自ら居住する住宅を建築・購入、または補修した場合で、住宅取得等のために受けた資金の贈与が、2020年4月から2021年3月末日までに契約を締結した方を対象に最大1,500万円まで、2021年4月から12月末日までに契約を締結した方を対象に最大1,200万円まで、非課税になります。

 

その他、「生活」を対象とした支援制度

コロナの影響で生活上の不安やお困りごとを抱えている方が、住まいとともに、その生活の再建を目指していくにあたり、さまざまな救済措置が用意されています。

 

1.一時生活支援

住居を持たない方やネットカフェ等で宿泊を続けている方など、不安定な住居形態にある方(緊急に住まいが必要な方)を対象に、一定期間(原則3ヶ月)内に限り、宿泊場所や衣食が供与されます。また、その後の生活に向けて、就労支援などのサポートも行なわれます。

 

2.住居確保給付金

生活困窮者自立支援制度の一つとして、離職または廃業、勤務先の休業や雇い止め、あるいは子どもの休校により勤務ができなくなっているなど、本人の責任によらず発生する事情から、①住むところがなくなった方や、住む場所を失うおそれが高い方、②給料などが得られなかったり、収入が減少している方、もしくは③離職や廃業には至っていないが、そのような状況と同程度の方、④離職や廃業がきっかけとなって生活が困窮している方などに対して、現金(一定期間の家賃相当額)が給付されます。また、生活の土台となる住まいを整えた上で、就労支援などのサポートも行なわれます。コロナの影響により、従来の要件であった、ハローワークに求職の申し込みをしていること、65歳未満となっていた年齢制限などが追加緩和により不要となりました。

 

3.住宅セーフティネット

住宅の確保に配慮が必要な方(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯、外国人など、住まい探しにお困りの方)の入居を拒まない住宅はセーフティネット住宅として、都道府県等に登録されています。セーフティネット住宅(登録住宅)には、賃貸人に対する改修費の補助や賃借人に対する入居時負担(家賃および家賃債務保証料)を軽減するための支援があります。

 

最後に

コロナの影響を受けた方を対象とした住宅関連の救済措置についてまとめました。コロナは私たちの健康面だけでなく、住居や生活そのものにも大きな影響を与えています。住宅ローンが払えなくなった、建物の引き渡しが予定通りに行なわれないなど、さまざまな想定外を今まさに経験されている方にとって、各支援制度の適用要件の変更は朗報といえるでしょう。国は今後もコロナの感染拡大の状況等を鑑みながら、柔軟に対応していくものと思われます。今回ご紹介した内容は2020年5月末日現在の情報ですので、関係省庁や関係機関のホームページをこまめにチェックして、常に最新の情報を収集するようにして下さい。