相談者
昨年、両親が実家の一戸建てを売却して、駅前の新築マンションに住替えました。コロナの影響で、これから不動産価格が大暴落するのではないかという話を聞き、気になります。大丈夫でしょうか?(千葉県 50代)
回答者
こんにちは。安心R住宅推進協議会の三津川 真紀です。
今月7日に政府が、新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大に伴う「緊急事態宣言」を発令して以来、同様のご相談が多数寄せられています。ここでは、ご相談の内容について、現在の4月時点における考察をお伝えしたいと思います。
先月より首都圏のマンション価格(前年同月比)は、新築・中古ともに下落し、徐々にコロナの影響が出始めています。今月以降は、感染拡大の状況にもよりますが、いずれにしてもすぐに収束するとは考えづらく、市場の縮小とともに更に落ち込むことが予想されるでしょう。そこで、ご相談者様が最も気になるのは、今後このまま不動産価格は大暴落するのか、だと思います。
まず、投資ニーズに支えられている都心マンションは、経済イベントによる直接的な影響を受けやすく、株価などに左右されやすいという傾向があります。したがって、経済が回復して株価が上昇すれば、需要も戻ります。一方、実需ニーズに支えられている郊外マンションは、都心マンションに比べると、価格が高止まりする要因が少ないため、価格の下落が進む可能性は高いでしょう。しかしながら、その要因がコロナかといわれれば、コロナが直接の引き金となって不動産価格が大暴落する可能性は現段階では少ないと思いますので、極端に気にされる必要はないかと思います。
ただし、都心の不動産価格の上昇につられて不自然な値上がりをしていた一部の郊外エリアなどでは、不動産価格の調整(本来の適正値に収斂する動き)が進むと思われますので注意が必要です。また、この先、供給の減少が予想されますが、仮に供給以上に需要が落ち込むことになれば、これも値下がりの要因にはなります。特に郊外は、コロナによって不動産所有者の経済状況がダメージ(収入の減少など)を受けた場合、売り出し物件数の増加につながります。売り出し物件数が増え、取引量が増えると、価格は下がります。この取引量の増加と需要の落ち込みが重なると、価格の下落に拍車がかかることになります。この下落が大幅な下落になるか多少の下落にとどまるかは、金融政策をはじめとする経済動向に左右されますので、関心を持つようにしましょう。