あんしんを、あたらしく。~一般社団法人安心R住宅協議会~

小規模不動産特定共同事業を活用した遊休不動産等の再生事業

 

事業概要

不動産特定共同事業法(以下「不特法」)の一部を改正する法律が、2017年6月に公布されました(施行は2017年12月)

この不特法の改正が、不動産業界に具体的にどのような影響を与えるのかについて知っておく必要があります。

不特法は一言でいえば、現物不動産(宅地建物取引業法第2条第1号に掲げる宅地または建物)を資産とするファンドの運用を規制する法律です。

この法律では、例えば、匿名組合契約によって投資家から出資を受け、その出資金をもって現物不動産を取得し、その現物不動産の売買等の取引から生じる利益を投資家に分配する場合には、原則として「不動産特定共同事業の許可」を受けることが要件となっています。

この時、“不動産特定共同事業の許可を受けるためには宅地建物取引業の許可を受けている必要がある”ことから、SPC(特別目的会社)が不動産特定共同事業の許可を受けることは事実上困難となります。

そのため、SPCを主体とする不動産ファイナンスにおいては、様々なスキームにより、不特法の適用を回避する方法が採択されてきました。

このような中、2013年6月の不特法改正では、SPCによる不動産特定共同事業を可能にするため、新たに「特例事業」の制度が導入されました。

この改正により、一定の要件を満たす事業については例外的に不動産特定共同事業の許可が不要となり、必要事項を主務大臣に届け出れば足りることになりました。

しかしながら、2013年の不特法改正によっても、SPCを主体とする現物不動産ファンドの組成・運用の普及は進みませんでした。

その要因としては、税制的課題もありますが、実際には以下のような制度的課題が大きいと考えられています。

 

●既に構築されている信託スキームなどと比較して、特例事業スキームでは投資家の範囲が限定されていること

●常に約款にもとづいて「不動産特定共同事業契約」を締結しなければならず、柔軟性に欠けること

●主体となるSPCに「みなし宅地建物取引業者」の規制が適用されること

 

そこで、2017年12月の不特法改正には、この特例事業の制度的課題について一定の範囲内で解決を図りつつ、現物不動産ファンドの組成・運用が可能な範囲を拡大するとともに、現物不動産ファンドについては金融商品取引法と同様にクラウドファンディングも認める内容が盛り込まれました。

 

2017年の不特法改正のポイントは、以下の通りです。

 

●適格特例投資家限定事業の創設

●小規模不動産特定共同事業の創設

●特例事業における事業参加者(特例投資家)の範囲の拡大

●特例投資家向け事業における約款規制の廃止

●クラウドファンディングを可能にする制度の整備

 

最大の着目点は、“主たる業として宅地建物取引業に従事していない会社”であり、“資金調達がクラウドファンディングなどによる方法”で、“ファンドの規模が少額”の場合であっても、「不動産ファンド事業」に参入できるようになったということです。

当協議会では、この不特法改正を、空き家をはじめとした住宅ストック(既存住宅)の流通を後押しする大きな機会と捉え、本事業に取り組んでいきます。

 


 

小規模不動産特定共同事業パンフレット(PDF形式)