あんしんを、あたらしく。~一般社団法人安心R住宅協議会~

2020.03.25

生命保険の代わりに不動産投資を勧められる理由とは?

相談者
出産を機に生命保険の加入を検討していたのですが、知り合いのファイナンシャルプランナーに不動産投資を勧められました。不動産投資がなぜ生命保険の代わりになるのですか?(東京都 30代)

 
回答者
 こんにちは。安心R住宅推進協議会の三津川 真紀です。

 

確かに、不動産投資会社が主催するセミナーに参加したり、ファイナンシャルプランナーに生命保険の見直しを相談したりすると、「不動産投資は生命保険の代わりになるので、実はお得で、将来の安定につながる」などといわれることがあります。ここでは、なぜ不動産投資が生命保険の代わりになるのかについてお伝えしたいと思います。

まず、自宅用であれ投資用であれ、金融機関でローンを組んで不動産を購入すると、通常は団体信用生命保険(以下、団信)という保険に加入することになります。住宅ローンや投資用不動産ローンを組む際、ほとんどの金融機関がこの保険に加入することを条件としているからです。つまり、「不動産投資=団信への加入」が、不動産投資が生命保険の代わりになるといわれる理由なのです。

団信は必ずローンとセットで加入する保険ですので、団信にだけ加入することはできませんし、ローン完済後に加入し続けることもできないという特徴があります。一般的な生命保険も団信も、いざという時の備えである点は共通していますが、一般的な生命保険が「保険金や保障を受ける」ものである一方、団信は、ローン契約者が死亡したり高度障害となって返済ができなくなってしまったりした場合に、「残債の支払いが免除される」という保険です。金利を上乗せすれば、一般的な生命保険と同様に、様々な特約をつけて保障を厚くすることもできます。但し、あくまでも生命保険ですので、健康状態によっては加入できない場合や、年齢条件が付いている場合もありますので注意が必要です(加入できない場合はローンを組むこともできません)

このように、団信は、一般的な生命保険と遜色ない効果が見込める上に、ローン完済後は不動産という資産が残りますし、仮にローン契約者に万が一のことがあっても、不動産の所有権はそのままにローンの返済義務がなくなり、やはり手元に無借金の不動産という資産を残すことができるというわけです。

ローンを組んで投資用不動産を購入し、団信に加入している場合、その不動産の投資価値が高く、賃貸経営が順調であれば、毎月の家賃収入からローン支払い額や団信の保険料をまかなうことができます。つまり、不動産投資は、毎月の保険料をほぼゼロにしながら生命保険の加入効果が得られ、万が一のことが起こると起こらないに関わらず、支払った保険料が掛け捨てにならずに資産が残せるのです。

ところが、このように不動産投資を生命保険の代わりとするには、「投資用不動産をうまくやりくりすることができれば」という大前提がつくことを忘れてはいけません。不動産投資は決して気軽なものではなく、投資用不動産を購入したその時から事業経営者となります。不動産投資を事業として認識し、責任をもって運用しなければ、プラスどころかマイナスとなって、老後の安定も日々の生活すらも揺るがすことになりかねません。生命保険の代わりになるからと営業され、安易に購入することは避けましょう。

不動産投資には当然にリスクが伴います。相場の変化や経年劣化により、不動産の資産価値が大幅に下落することもあり得ます。賃貸収入が十分に得られるとすれば、一般的な生命保険以上の効果も期待できますが、これは不動産投資事業(不動産経営)を行なうことを意味しています。団信は不動産購入が前提である以上、一般的な生命保険としての小回りは利きません。これらを踏まえて検討されることをお勧めします。

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