相談者
物件を探していたら、「立地適正化計画区域」という言葉を見つけました。これって何でしょうか?計画区域を購入すれば、資産価値が下がらず、自治体からのお墨付きもあって安心なのか、教えてください。
(広島県:40代)
回答者
こんにちは。安心R住宅推進協議会の三津川 真紀です。
不動産購入時に、「立地適正化計画の区域内」というキーワードを見かけたとのことで、「立地適正化計画」とは何か、その区域内外で何が異なるのか見ていきましょう。
「立地適正化計画」とは、「コンパクトシティ」を推進するために2014年に国が創設した制度です。「立地適正化計画」が敷かれると、「立地適正化計画区域」とそれ以外の区域に線引きされます。さらに「立地適正化計画区域」は、主に住宅地とする「居住誘導区域」、主に商業地とする「都市機能誘導区域」に細分化されます。
わかりやすく言うと、自治体が線引きをして、その範囲内を重点的に盛り上げる施策のことです。
それでは計画区域内の不動産は、資産価値が安定しているのでしょうか?
実は、立地適正化計画が成功しているとは言い切れる地域がほとんどありません。
なぜかというと、例えば自治体が一定の基準で「区域内」と「区域外」を線引きしたものの、危機感を持った区域外の住民が民間業者と連携して商業施設の誘致を行い、結果的に区域外の活性化に繋がっているケースが発生することもあります。そして区域内は、行政からのお墨付きがあるため、民間業者は特別な対応を取らず、その結果、区域内だからといって盛り上がっていないというケースも起こっています。
「立地適正化計画区域」だからといって、100%何かが保証されているわけではありませんが、災害多発地域などでは立地適正化計画を利用して、安全・安心なまちづくりが進められることがあります。それは立地適正化計画が、現状の用途地域を変更せずに災害危険区域の居住を制限する方法となるからです。そのため、100%の保証があるとは言えませんが、計画区域外よりは内の方が、資産価値などの将来性が見込める、ことは確かかもしれません。
では計画区域外となってしまったエリアは衰退していく一方なのかというと、決してそうではなく、先ほども紹介したように、自治体が関与しない、つまり公共の資金拠出を受けないことが前提となるからこそ、民間企業が投資をして、結果として区域外の方が区域内よりも活性化するケースもあるということです。したがって、一般消費者が住宅を購入する際に、「立地適正化計画」にこだわる必要はそれほどないというのが、私の考えです。
立地適正化計画の区域内や区域外という言葉に捉われず、通常の不動産購入同様に周辺地域を確認し、慎重に決めることが重要です。